シオンズアイズ
「あのね、シオン。いつも言ってるでしょ?」

それからグイッと自分の顔をシオンに近づけ、声を落とした。

「あんたのその瞳。その瞳は、すごい力があんの!あらゆる者があんたの力を手に入れたがるわ。それは、人間だけじゃない。いいえ、むしろ人間よりも、魔物、神々、常識では考えられないような世界に住んでる者達よ」

…はいはい、そうでした、そうでした…。

シオンは耳にタコができるほど、香のその言葉を聞いているのに、どうしてまた、あんな質問をしてしまったのかと後悔した。

香はシオンの手を取り、心配でたまらないといったように長い睫毛を震わせた。

「シオン、あなたは特別な存在なのよ」

シオンはそんな香を見つめ、彼女の手を握り返した。
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