シオンズアイズ
アイーダは、ファルが部屋から出ていった
気配を感じてそっと眼を開けた。

……ファルはこの姿を見て何も思わないのか。

この美貌と身体でこんなに誘っているというのに。

アイーダは、焦燥感を覚えた。

もしも、『守護する者』……香がシオンを連れて帰ってきたら。

アイーダはゾッとした。

嫌だ。

ファルに愛されたい。

私だけを見てほしい。

ファルの妻になりたい!

こんな、ぬるい誘い方ではダメだ。

この想いを真っ向からぶつけなければ、勝ち目はない。

アイーダは、スッと起き上がるとファルの部屋をあとにした。
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