シオンズアイズ
人間界では、自分の力が最大限に使えないのだ。

下手をすると深手を負わされかねない。

アイーダは、シオンと呼ばれた女と、香と呼ばれた女を忌々しそうに睨み付けた。

一方香は、人間界に裂け目をいけ、そこから覗き込む魔性とがっちり眼が合い、身構えた。

「お前は誰だ!何者だ!?」

「私は、アイーダ」

苛立たしげに大きな漆黒の瞳を瞬かせて、魔性はこちらを睨みつけている。

咄嗟に香は、シオンと魔性の間に割って入ったが、魔性はシオンよりもむしろ、香を凝視している。
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