シオンズアイズ
寝台に押し倒したアイーダの首を片手でぐっと掴み、ファルは、至近距離からその美しい顔を睨み付けた。

やがて、ひとつの疑念が胸の中に生まれる。

「……エリルの森でシオンを襲ったのは、お前じゃないのか?!」

シオンは、七色の瞳の乙女だ。

誰に狙われてもおかしくない。

何か願いを叶えるために、アイーダがシオンを襲ったのだとしたら。

ファルは、川辺の岩に残されたおびただしい血痕を思い出して、全身の血が逆流するような気がした。

素早く利き手で腰の長剣を抜き放ち、アイーダの白い首にその刃をピタリと押し付けると、絞り出したような声で再び尋ねた。

「答えろっ?!殺したのかっ?!」

アイーダは、必死で首を横に振った。
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