シオンズアイズ
「殺してなど……!私はただ………!」

「ただ、なんだっ?!」

刃がアイーダの喉に食い込み、うっすらと赤い線が浮かぶ。

「答えるんだ!!」

アイーダは、もう隠せないと悟り、顔を歪めた。

「ただ、人間になりたかった……!」

……な、んだと……!?

ファルは、息を飲んでアイーダを凝視した。

アイーダは、震えながら泣いた。

瞬く間にファルの心にアイーダへの憎しみが生まれ、それが竜のように暴れ出し、彼の全身を支配した。

「人間になるためにシオンを襲ったのか!!
殺してやる!!」

ああ!!
< 192 / 515 >

この作品をシェア

pagetop