シオンズアイズ
どうして、こんな……!!

こんなにも愛しいファルに、こんなにも憎まれるなんて!

人間になり、ファルに愛されたかった。

ファルだけに、愛されたかった!!

ファルはアイーダの首を掴んでいた腕に力を込めると、彼女の体をその腕一本で持ち上げ、壁に叩き付けた。

「ああっ!!」

ガツンと石壁に頭をぶつけ、アイーダは気を失いそうになった。

「俺のシオンに手をかけた罰だ。地獄で後悔するんだな」

ファルはアイーダに、吐き捨てるようにそう言うと、長剣を構えた。

殺されるっ!

アイーダは、咄嗟にユグドラシルの腕輪に触れた。
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