シオンズアイズ
な、に?!

ファルは眼を見開き、透明になったアイーダを凝視した。

振り下ろした長剣が、透けたアイーダへと吸い込まれる。

「待てっ!!」

叫んだ時には既にアイーダは消え、跡形もなかった。

あれが、ユグドラシルの腕輪か……!!

「クソッ!!」

ファルは悔しさのあまり、拳で壁を殴った。

それから素早く踵を返すと、部屋から飛び出して叫んだ。

「誰か、レイアを呼べ!」

慌ただしく駆けていく使用人の足音を聞きながら、ファルは思った。

シオン、どうか無事でいてくれ!
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