シオンズアイズ
ファルは冷めた眼でアルゴを見上げた。

……なんだ、コイツは。

幼馴染みの俺より、出会ったばかりの香の肩を持つのか。

さては。

「とにかく」

香は憤懣やる方ないといったように頭をブンブンと振ると、ハーッと溜め息をついてから再び口を開いた。

「さっきも言ったけど、シオンは生きてる。
ただ……」

ファルが眉を寄せる。

「ただ、なんだ」

香は眉を寄せてファルを見つめた。

「怪我がひどくて助けられなかった」

「なんだと!?」
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