シオンズアイズ
「……足、出して」

カイルはそれ以上、シオンの顔を見ようとしなかった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
数日後。

「庭園の中だけなら、独りで散歩してもいいよ」

カイルにそう言われ、シオンは部屋を出た。

……上手く歩けない。

あまりの痛さに脂汗が額に滲んだが、シオンは諦めなかった。

指は動く。

けど、痛い。

シオンは歯を食いしばった。

……負けない。

負けないから!
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