シオンズアイズ
その時である。
「……っ!」
背の高い、幹の太い樹木の側を通りすぎようとしたシオンの腕を、誰かが掴んだ。
心臓が止まりそうになりながらその手の主を振り仰ぎ、シオンは思わず眼を見開いた。
アイーダ!
途端にエリルの森で首に噛み付かれた恐怖を思い出す。
声すら出せないシオンを見て、アイーダはニタッと笑った。
殺してやる!
自分を差し置いてシオンとファルが結ばれなどしたら、業火に焼かれるより辛く狂おしい。
七色の瞳の乙女を殺し、ファルに絶望を味わわせれば、この気持ちもきっと楽になる。
この思いを遂げれば、たとえ死んでも悔いはない。
「……っ!」
背の高い、幹の太い樹木の側を通りすぎようとしたシオンの腕を、誰かが掴んだ。
心臓が止まりそうになりながらその手の主を振り仰ぎ、シオンは思わず眼を見開いた。
アイーダ!
途端にエリルの森で首に噛み付かれた恐怖を思い出す。
声すら出せないシオンを見て、アイーダはニタッと笑った。
殺してやる!
自分を差し置いてシオンとファルが結ばれなどしたら、業火に焼かれるより辛く狂おしい。
七色の瞳の乙女を殺し、ファルに絶望を味わわせれば、この気持ちもきっと楽になる。
この思いを遂げれば、たとえ死んでも悔いはない。