シオンズアイズ
「……殺しに来たぞ」

コロシニキタゾ

高々と振り上げられたアイーダの右手の短剣が、沈み行く太陽を反射してキラリと光った。

殺される……!!

今まさに自分に突き立てられそうな短剣を目の当たりにした時、シオンは思った。

死にたくない!

死んでたまるもんですか!

「きゃあああっ!」

シオンは声の限り叫んだ。

助けて!とか、誰かの名を呼ぶ余裕はなかった。

ただただ、誰かに気付いてほしかった。

「シオン!?」

カイルはシオンのけたたましい叫び声を聞いて、ビクッと背中を反らせた。
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