シオンズアイズ
「シオン!?シオン!!」

カイルは部屋にいたが、無意識に弓矢を掴むと、窓から中庭へ飛び出した。

「いやあぁぁーっ!」

……あそこだ!

悲鳴のした方向を見て眼を凝らすと、揉み合う二人の人間が太い樹木の向こうに見えた。

間に合えっ!

カイルは素早く弓を構えると、矢を放った。

矢はなんの迷いもなく一直線に空を切り、カイルの思い通りに飛んだ。

「っ!!!」

声にならない息のような悲鳴が短く聞こえ、絡まるようにしてシオンともうひとりの女が倒れた。

「シオン!」

走り寄って見下ろすと、カイルは思わず息を飲んだ。
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