シオンズアイズ
シオンは顔を赤くして俯いた。

そのシオンの姿に真実味を感じ、シリウスはフッと笑うと意味ありげにカイルに眼をやった。

「愛してるんだって、カイルを」

それから、肩を揺すった。

「……じゃあ……帰ろうか、アーテス帝国に」

カイルは瞳を伏せると頭を垂れた。

「では、僕はケシアで待機します」

「その必要はない」

カイルは弾かれたように顔を上げた。

その顔をシリウスが面白そうに見つめた。

「だって、そうだろ?もう、ケシアから引き上げてもいい。たった今、そうなったよ」

カイルの喉が僅かに動いた。

まさか………シリウス様は……いや、分からない。
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