シオンズアイズ
カイルは、カラカラに乾いた喉を必死で押し開いた。

「しかし、シリウス様」

「これは決定だ。いいね、カイル」

柔らかく、それでいて強く光る眼差しを向け、シリウスはカイルを制した。

「……分かりました」

カイルは暫くシリウスを見つめたが、やがて
瞳を伏せた。

「俺は一足先に立つから、お前は後から来い」

言い終わらないうちにシリウスは歩き出し、部屋を後にした。

部屋を出て、隣の部屋へと歩を進めながら、シリウスはほくそ笑んだ。

シオンがカイルを。

シリウスは、リーリアス帝国国王ダクダの顔を思い浮かべた。
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