シオンズアイズ
◇◇◇◇◇◇
二週間後。

「ダメだ、無理に体をねじるな」

「きゃあっ」

シオンは馬上で体勢が崩れ、落馬しそうになったところを、飛んできたカイルに抱き止められた。

「ド下手」

「ごめん……」

眼を細めて刺すような眼差しを向けたカイルに、シオンは小さな声で謝罪した。

「自分だけが向きを変えようとしてもダメなんだ」

「はい」

「もう一度」

落ち込んだように俯いたシオンが可愛くて、カイルは気付かれないように微笑んだ。

本人に言う気はないが、シオンは筋が良い。
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