シオンズアイズ
初めて独りで馬の背に乗った時は、顔面蒼白で怯えていたが、それも初日だけであった。

一方シオンは、額の汗をぬぐいながら自分を抱き止めてくれたカイルを見つめた。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

10日前。

「無事のご帰還をお祈り申し上げます」

カイルは、アーテス帝国へと戻ろうとしているシリウスに、恭しく頭を垂れた。

「お前も後に続いて帝国へ帰るんだ」

「はい。引き続きシオンに馬の乗り方を教えた後、すぐに後を追います。」

シリウスは、呆れてカイルを見つめた。

「いつまでかかるんだ。1日2日じゃ無理だろ」

カイルは笑った。

「毎日みっちりやれば、20日の後には形になるかと」
< 258 / 515 >

この作品をシェア

pagetop