シオンズアイズ
澄んだ声が響き、三人のやり取りに呆れたマーカスが、鞍をつけ終えた自分の愛馬にまたがった。

榛色の瞳が香を捉え、マーカスはスラリと愛剣を引き抜くと、高く掲げた。

「いいわ。アルゴ、剣を」

アルゴが焦って香に駆け寄る。

「おい香、マーカスは青白い顔してる割りには案外強いんだぜ」

マーカスがジロリとアルゴを睨んだ。

「俺は青白くない。お前が異様に黒いだけだ」

「どーでもいーから、早く剣を貸して」

イラッとした香に見据えられ、アルゴはやむ無く剣を渡した。

香は剣を受けとるとグルッと手首でそれを回し、肩に担ぐとマーカスを見つめた。

「鐙に爪先をかけて、立ち上がるときのコツを掴んで」

「分かった」
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