シオンズアイズ
「……」

うわっ、バレたっ。

ファルは狼狽えるシオンを不思議そうに見つめたが、直ぐにフッと笑った。

それから低くて柔らかい声で言う。

「早く選べ」

シオンは赤くなった。

「だって、ファルが」

……俺がなんだ?

意味がわからず首をかしげたが、それは一瞬で、ファルはすぐに自分がシオンの身体に腕を絡めたままなのに気がついた。

「あ……」

思わず動揺し、咳払いで誤魔化す。

シオンは解かれた腕に寂しさを覚えたが、気を取り直すと辺りを見渡した。
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