シオンズアイズ
「……っ」

可愛い、この花……。

シオンはいくつかの花を見た後、花びらの多い薄ピンクの花を手に取った。

「これがいいのか?」

ファルがシオンのそばに膝をついた。

「うん」

花を受けとるとクッと一瞬瞳に力を込めて、ファルは花を黄金に変えた。

暫くそれはファルの両手で見えなかったが、やがて、

「手をかせ」

やだ、うそ。

ファルの長く男らしい指が、自分の指に触れる。

「…………」
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