シオンズアイズ
きらびやかな装飾品で全身を飾り、上品で優雅な仕草を見ると、彼女がガイザ帝国の王女であることは明らかであった。

近衛兵隊長の青いマントがサラリと揺れ、彼が一礼して去っていくと、王女は妖艶に笑った。

「こちらに」

いうなり裾の長い美しい絹の衣装を翻し、彼女は城門のすぐ隣の立派な建物へと入った。

いくつもの部屋を通りすぎ、長い廊下の突き当たりで足を止めると、王女は振り返って侍女を見た。

「人払いを」

王女が短く告げると、侍女が恭しく頭を垂れて部屋の入り口に掛かる布を開いた。

「こちらへ」

促され、シオンは王女と二人で部屋へと足を踏み入れた。

ここは……どういった部屋なんだろう。
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