シオンズアイズ
部屋には美しいテーブルと椅子が置かれ、沢山の蝋燭の炎が揺れていて明るかった。

宮殿でないことは確かだ。

来客用の待ち部屋なのだろうか。

「お座りなさい」

王女の透き通った声がした。

「……はい」

シオンが王女の正面に座ると、彼女はじっとシオンを見つめた。

……この女が『七色の瞳の乙女』なの?

なによ、こんなみすぼらしい女。

服だって、大したことないし、耳飾りも首飾りもしていない。

どこがいいのよ、こんな女!

王女は、胸の中に渦巻いている嫉妬でイライラした。

王子ファルは、この女が好きなのだろうか。

いや、きっと好きなのだ。
< 362 / 515 >

この作品をシェア

pagetop