シオンズアイズ
二つの大国……アーテス帝国とリーリアス帝国、どちからに着くのも大変危険で不安定なのだ。

何故なら客観的に見て、二国は互角である。

どちらか一方と婚姻関係を結ぶなど、気の弱いガイザに出来る筈がなかった。

同じ中立国で、兄が治めるアシ帝国の手前もある。

「我が国は中立を貫くのだ。黄金族人間とも白金族人間とも婚姻関係を結ぶことはできない」

リラは悲しみにくれた。

黄金族人間と白金族人間の争いさえなければ、私もファル王子と結ばれる可能性があったんじゃないの?

どうして、二国は憎み合うの?!

リラは、ガイザ帝国に入国したファルとシオンを見て思った。

この私が結ばれなくて、どうしてこの女がファル王子と愛し合うのよ?!

七色の瞳の乙女が現れ、黄金族人間から白金族人間へとその身がさらわれ、奪い合った事実は瞬く間に国を越えて広まっていた。
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