シオンズアイズ
……七色の瞳の乙女は、神の捧げ物になるらしい。

神に身を捧げると、乙女はどんな望みも思いのままになると。

「あの、王女さま……?」

リラは、訝しげなシオンの声で我に返った。

「私になんのご用ですか?」

「……貴方は……ファル王子を愛しているのですか?もしも愛しているのなら」

リラは一旦言葉を切ってシオンを見据えると、形のよい唇を引き上げて笑った。

「……もしもファル王子を愛しているのなら、捧げ物におなりなさい。
最高神オーディンの」

最高神オーディン……?

なに、それ……。

戸惑うシオンを見つめながら、リラはゆっくりと口を開いた。
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