シオンズアイズ
……顔だけでも見といてやろーか。

……ん?

あれは……。

オーディンは大袈裟に、長い溜め息をついた。

それからクククと肩を揺すって神酒(ネクタル)のデキャンタを煽った。

……仕方ねえ、行くか。

なんてったって『七色の瞳の乙女』がお呼びだからな。

オーディンは面倒臭そうに立ち上がると、カツンと音を鳴らしてグングニルを大理石の床に打ち付けた。

ヴァラスキャルヴの床が、溶けるように波打つとオーディンはそこから地上を目指した。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「オーディン!」

シオンは空に向かって叫んだ。

幾度目かの時である。

「うるっせえよ!馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇ!」
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