シオンズアイズ
…………っ?!

シオンは眼を見張った。

急に、本当に急に、目の前に男が現れたからだ。

「誰?!」

…………。

オーディンは、自分の真正面で眼を見開き、息を飲んでこちらを凝視している女に向かって口を開いた。

「お前が呼んだんだろ。それに俺は人じゃねーんだ。叫ばなくても心の中で呼べば聞こえんだよ」

……てことは……この人がオーディン?

シオンは、オーディンを上から下まで見回した。

水平にした長い槍を担いで両腕を絡ませ、そこにカラスを二羽とまらせたこの青年が、オーディンなの?
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