シオンズアイズ
最高神などと言うものだから、シオンはギリシャ神話で言うところの『ゼウス』を想像していた。

もっと年老いていて、威厳に満ちた神の姿を。

だが目の前のオーディンは、精悍で鋭い眼差しが印象的な美しい青年である。

片方の眼は黄金色で中央に赤色の宝石が埋め込まれた眼帯で覆われていたが、それもまた良く似合っていた。

「…………」

一方オーディンは、シオンの瞳を見つめてヒュッと口笛を吹いた。

……この瞳……久し振りだぜ。

「何か用か」

水色の髪をサラリと揺らして柔らかく微笑むと、オーディンは絡めていた両腕を解いてグングニルを右手で持ち直した。

一瞬飛び立ったカラス達が再び彼の肩に戻る。
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