シオンズアイズ
「……お願いがあるんです」

一言一言チンタラ喋ってねーでさっさと言え。

そう言ってやりたかったが、シオンの瞳が濃い赤色に変わり、オーディンは唇を引き結んだ。

この赤色。

悲しみの赤、愛情の赤、憎しみの赤。

どれも違う赤が混ざり合った何ともいえない深紅の瞳。

オーディンは思った。

強く求める思いが内からほとばしり、自分の使命を確信した眼だ。

それは己の為とはかけ離れたもので、寧ろ自分を犠牲にしてまで叶えたい望みである。

全く。

「願い?」

シオンは深く頷いた。

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