シオンズアイズ
シオンは答えに詰まった。

「でもっ……!残された者はっ……」

オーディンは嗚咽を漏らすシオンを見下ろした。

……確かにそうだ。

本人よりも、残された者の方が無念で、この女はそちら側にたってものを言っているのだ。

「我が儘な女だな」

シオンは俯いた。

「あなたと話をしているうちに、いかに自分が無知で浅はかな考えしかないのかを思いしらされました。
ですが」

シオンはハラハラと涙をこぼしながら続けた。

「けれど、戦うより、平和の方がいいに決まってます」
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