シオンズアイズ
……平和……。

ホントに分かってねぇ。

オーディンはぞんざいな光を隻眼に宿らせ、シオンを見ずに口を開いた。

「お前にも見せてやるから一緒に来い。スレイプニル!!」

オーディンが聞きなれない単語を発した直後、背後で馬の蹄の硬い音と嘶きが響いた。

「スレイプニル」

見たこともないほど大きな馬の足は8本で、シオンは息を飲んで目を見張った。

オーディンは素早くスレイプニルにまたがると、シオンの腕を取り馬上に引き上げた。

二羽のカラスが素早くオーディンの肩に留まり直す。

「あの、何処へ行くの?」

オーディンは短く答えながら、手綱をさばいた。
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