シオンズアイズ
「フリズスキャルヴへ戻る」

八本足の馬……スレイプニルは幅の広い壮麗な廊下を駆けた。

「こいつに乗らなきゃ、フリズスキャルヴは遥か彼方だ」

「……」

暫くの後、またしても立派な扉が見えてきたが、オーディンは馬の速度を落とさなかった。

「安心しろ、ぶつかったりしねーから」

オーディンの言葉通りだった。

扉は開くことがなかったのに、スレイプニルは大広間の中央で八本の足を止めた。

スレイプニルからシオンを降ろすと、オーディンはその頬をポンポンと二度優しく叩いた。

するとスレイプニルは満足そうに広間の隅へと移動し、置いてある水に口をつけた。
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