シオンズアイズ
それを確認したオーディンは、チラリとシオンを見て、宝石の散りばめられた豪華な玉座に腰をおろした。

両肩の二羽のカラスがオーディンの耳元で鳴き、彼は頷くと右手の長い槍、グングニルを床に二度打ち付けて鳴らした。

「夜が明けたな。もう始めてるぜ」

「あ……きゃあ!」

足元が波打ち出したかと思うと、次第に闘いの光景が浮かび上がり、まるで床全体が映画のスクリーンのように変化した。

「大丈夫だ、落ちやしねーから」

入り乱れる兵士達。

怒号と炎、そして斬り結ぶ剣の硬い音。

倒れる兵士とそれを飛び越える騎兵隊らしき姿。

血と泥が混ざり合い、苦悶の表情で崩れ落ちる歩兵隊。
< 438 / 515 >

この作品をシェア

pagetop