シオンズアイズ
残忍で冷酷な眼差しを向けて私を刺したシリウス?!

「無様なものだぜ」

オーディンが薄ら笑いを浮かべた。

それからグングニルを肩に担いで両腕を絡める。

二羽のカラスが羽ばたき、広間を旋回した。

オーディンは視線を下げてニヤリと笑い、続けた。

「以前のシリウスは偉大な王だった。だが、こいつは放棄したんだよ、王の責任をな」

王の責任……。

オーディンは更に続けた。

「大勢の兵の血を流して奪取したケシアの都をいとも簡単に手放して、兵や民は納得するか?」

「自分の右腕として支えていた側近を情け容赦なく処刑した王を信頼し慕えるか?」
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