シオンズアイズ
シオンは何とも言えずに眉を寄せた。

「アイツは頼りすぎたんだ、自分以外の力にな」

自分以外の、力……。

その時である。

「何故カイルを殺した」

ファルの低い声がして、辺りは嘘のように静まり返り、馬の蹄だけが音を立てた。

シリウスが浅い笑みを浮かべてファルを見た。

「……カイルが死んで黄金族人間が困ることなんかないだろ?なぜ知りたい?」

ファルは唇を引き結んだままシリウスの眼を見つめた。

シリウスは首を左右に振って溜め息をついた後、続けた。

「カイルは虜にする筈の『七色の瞳の乙女』を愛してしまい俺に背いた。アイツのお陰で計画が丸潰れだよ。ケシアも失い、『七色の瞳の乙女』にも逃げられて、手ぶらで俺の前に立つとは。こうなったのは、全てアイツのせいだ!
……俺は、孤児だったアイツを拾い人生をあたえてやった。
いつも俺の傍らに置き、大切にしてやった!なのに、なのに……!!裏切ったんだ」

激昂を抑え込もうと、シリウスは一旦言葉を止めたが、諦めて続けた。

「……死ぬに値する裏切りだろ?」
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