シオンズアイズ
「野蛮なファル。黄金族人間の王子。偉大なる王ダグダの嫡男とは思えない振る舞い」

「白金族人間の攻め込みに手を焼いているのね。ケシアの都が攻め落とされたとか。王子ファルの指揮が悪くて、軍が壊滅したとか」

「黙れ!」

苛立たしげに金色の瞳を光らせ、ファルは金の針に変えた草を、プッと吹いた。

黄金の針は、消え去った妖精を捕える事など出来ずに、ポトリと土に落ちた。

光りながら落ちていく黄金の針を見つめ、ファルは唇を噛みしめた。

そうだ、俺のせいだ。

俺のせいで最北の都市ケシアが攻め落とされたんだ。

そう、天敵である白金族人間に。
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