シオンズアイズ
「っ……!」

ファルがシオンを引き寄せて口づけた。

熱っぽいキスを期待していたのに、ファルの唇は軽く触れただけですぐに離れた。

期待外れが少し寂しくて、シオンはファルの瞳を一心に見つめた。

そんなシオンを見て、ファルがフウッと笑った。

「なんだ、その顔は」

……ぐっ。

「もしかして、物足りなかったのか」

な、な、な……っ!

悪戯っぽく笑った後、ファルが僅かに眼を細めてシオンに顔を寄せた。

「俺は物足りない」

「……えっ」
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