先輩と、わたし。
「15匹?花乃ちゃんほんと器用だよねー!それに比べて真子は…。」
桜子先輩が真子先輩をちらちら見てからかってる。
「…金魚は泳ぐからちょっと苦手なだけよ。スーパーボールなら動かないし…、見てなさい。」
真子先輩は明らかに悔しがってた。
隣のスーパーボールの屋台のおばあちゃんに自分でお金を出す。
「真子先輩、頑張ってください!」
わたしをふくむ数人のパーカッションメンバーに応援されながら、真子先輩はスーパーボールをすくいにかかる。
でも…、
「あれー?スーパーボールなら出来るって言ってなかったっけー?」
結果はまたもや0。桜子先輩は抑えきれずに笑いまくる。
「…そうよっ。わたしはものすごーく不器用よ。だから何?文句あるの?不器用上等よ!」
「きゃー、真子が怒ったー!」
言い合いを始める桜子先輩と真子先輩。
でも何だかんだ言って楽しそう。
そのときそんなわたしたちの後ろで悠哉先輩と陽大先輩が、
「花乃ちゃん、ピンクの浴衣とか着てくるのかって思ったら、淡い紫だもんな!ちょっといつもと違って色気があるっていうか!」
「…それ以上言ったら殴る。」
「……悪かった。」
っていう会話をしていたなんて、わたしは知らない。