先輩と、わたし。
人が集まって更に暑くなる体育館で俺がボーッとしてたら、隣にいた陽大がしきりに肩を叩いてきた。
こんな暑いのに何だよ。
「おい悠哉ってば、あっち見ろよ!花乃ちゃんだぜ!」
もう陽大の言葉を聞く気にもならなかった。
「悠哉聞いてんのか?」
何でそんな強く呼ぶんだよ?
仕方なくゆっくり陽大の指す方向を見ると、
ん、花乃だ。
友達っぽいやつとこっちを見てる花乃の姿があった。
その瞬間、暑いのも忘れて勝手に笑顔がこぼれる。
花乃に軽く手を振ったとき、2年の学年主任の先生が怒り出し、2年の列がどんどん出来ていった。
俺たちはその人ごみに飲み込まれる。
あー、もう花乃見えねーじゃん。
「花乃いるならもっと早く言えよ、陽大。」
って言ったら、
「俺、何回も言ったからな!俺のせいにするなよ!」
と言い返されてしまった。