先輩と、わたし。
「あ、花乃ちゃん?あたしは結局彼氏が出来なかったし、ちょうど用事もかぶったから、行かないでおくね!一応電話だけ入れておこうと思って!」
「はい、ありがとうございます!」
顔は見えないのに、桜子先輩が笑ってるのがよく分かった。
「あたしね、尊敬するとか言われたの花乃ちゃんが初めてなの!すごく嬉しかったんだから!ありがとね!」
きっとみんな照れくさくて言わないだけで、絶対思ってるはず。
桜子先輩はほんとに立派なパートリーダーだったもん。
陽大先輩が信じられないわけじゃないけど、桜子先輩にはずっとパーカッションを引っ張ってほしかったなあ。
「あたしはもうすぐ卒業だけど、卒業後もよろしくね!またみんなでご飯食べにいこ!」
そうやって誘ってくれる桜子先輩が可愛らしかった。
「はい、喜んでっ!」
「花乃ちゃん大好きだよ!じゃあね~!」
切れちゃった電話を名残惜しくポケットに入れ直す。
最後は…、
って前を見たらそこにいたのは、
近づいて来るわけでも逃げるわけでもなくただそこにのらりと立ってる悠哉先輩だった。