先輩と、わたし。
「ほんとに覚えててくれたんですねっ。」
「おー、当たり前な。」
嬉しくて嬉しくて、笑顔になるしかなかった。
悠哉先輩がわたしの頭の上に手を乗せる。
先輩のお決まりの行動。
「花乃の誕生日祝いたい人募集したら、こんなに集まった。」
「ほんとに…?」
「うん。」
先輩はわたしの頭に手をおいたまま、少しかがんでのぞき込んできた。
先輩の顔、やっぱりきれいだ…。
「花乃、髪型違うくても可愛いのな。俺、花乃のこと大好きだし、絶対誰にも渡さねーから。」
そんな先輩に顔を真っ赤にして、わたしはコクンとうなずいた…、その瞬間、悠哉先輩は一瞬より少し長いキスをした。
「…っ、先輩、みんな見てますっ!」
わたしが言うと悠哉先輩は無邪気な笑顔で答える。
「ん、見せつけた。」
「…もうっ。」
そんなこと言われたら言葉出ないじゃん…。
ちょっと拗ねてたわたしの手を先輩が優しく握ってくる。
先輩の手、温かい…。
ずっと離したくないって言ったら引かれちゃうかな?
「どこからまわる?」
「うーんと…、空中ブランコっ!」
「ん。」
短い返事とともにこぼれる、悠哉先輩の柔らかい笑顔。
その笑顔が、わたしの心を虜にするんだ。
わたしと悠哉先輩、それからはみんなは一斉に遊園地という夢の公園の中を駆けだした。