先輩と、わたし。
「あっ。」
悠哉先輩だったんだ。
だけど、悠哉先輩2年生だよね?
「葉菜先輩、練習戻りますねっ。」
「はーいっ。」
ゆっくり歩いて先輩のとこまでいく。
「あの、仮入部の前の、パフォーマンスのときのマーチング、スネアソロやってました?」
「あー、そんな気もする。」
先輩は手を止めて、ちらっとこっちを見た。
「パーカッションソロの最後、1人で叩いてたのって、先輩ですよねっ。」
「おー。」
わたしの頭からずっと離れなかったあのソロ。
悠哉先輩、すごい。
ていうか、
「かっこいい…。」
はっ、またココロの声がもれちゃった。
あわてて口を手で押さえて、先輩を見る。
「ん。」
「え?」
「ん、やってみ。」
差し出されたスティック。
だめだ、断れないよ~。