先輩と、わたし。
少し小さめの音で叩きはじめる。
あ、ちょっと楽しいかも。
ううん、普通に楽しくて、どんどん音量上げてっちゃった。
それから、強弱とかも頑張ってつけてみる。
夢中になってる、わたし。
終わったときにはみんなシーンとしていて、ちょっと恥ずかしかった。
「普通にうまいじゃん。」
悠哉先輩は、そっけないけど嘘はつかない。
それはこの間葉菜先輩に聞いたこと。
葉菜先輩はほんとにみんなをよく見てるから、多分ほんとだと思う。
だから、先輩がストレートに褒めてくれたのは、素直に嬉しかった。
「ううん、先輩には及ばないですっ。」
「あたりまえな、俺天才だから。」
またまわりの楽器の音が鳴り始めて、わたしは流れで先輩と話すことに。