先輩と、わたし。
その次の日。
いつもみたいに早く部室に来て1人で練習してたら、澤木にバレてしまった。
「いつからいた?」
「ずっと、見て、ました。」
嘘だろ?全っ然気づかなかった。
やっぱ俺鈍いんだな。再確認できたわ。
「まじで?あー、俺鈍いからなー。」
「でも…、ちょっと意外です。」
俺を見上げながら、小さい声で澤木が言った。
何だそれ。
ちょっとからかったれ。
「んー。花乃の中で勝手に俺のイメージつくんなよな。」
思った通り、澤木はまたリンゴ顔になった。
よーするに、女子は男子に名前を呼ばれたらドキドキするってことだろ?
北原先輩も名前呼んでたみたいだし。