先輩と、わたし。




やっぱり花乃でもできた。




「普通に上手いじゃん。」





「ううん、先輩には及ばないですっ。」





「あたりまえな、俺天才だから。」






そんなこと言ってたら、ふと花乃が優しい顔になった。




「わたし、あのときのソロを見て、またパーカッションやりたいなって思ったんです。

先輩たちがあまりにかっこよかったから。」





…………。





ふわっと笑う花乃の笑顔に、胸の奥がざわついた。





「ふーん。」





「もっと真剣に聞いてくださいよっ。」





「えー、俺けっこー真剣。」




「ふーん。」くらいしか言葉が出なかったんだよ。



俺だけじゃなくて、ほかのやつらのことも言ってんのはちょい気にかかるけどな。








< 79 / 440 >

この作品をシェア

pagetop