おれんじの絆

素直な蓮

へぇー。ここが蓮の家なんだ…。
今ちょうど案内してもらっているところ。
家の間取りはそんなに狭いわけでもなく、すごく一般的な家だと思う。
なんか夢みたいだなぁ…。
「ここがあなた達の部屋よ」
「ありがとうございます」
なかなか広い部屋だ。
そして、私達が入ろうとした時、いきなり体の前に誰かの手が部屋に入るのを邪魔した。
「ちょっと!ただでこの部屋使おうと思っているの?」
「え、お金いるんですか?」
いきなり両親が海外に出張してしまったのに、子供が住むのにお金を払わすなんてさすがにひどすぎる。
ましても、私達はその事実を今知ったばかりで、ここに住みたいと自分から申し出たわけでもない。
話の展開がおかしすぎるだろう。
しかし、蓮のママは否定してきた。
「ちがうわよ。あなた達にしてもらいたいことがあるの」
「家の手伝いですか?」
「洗濯?」「掃除?」
将貴と2人で答えを考えていると、蓮のママが怒り混じりな声で言った。
「違います。あなた達どちらかにバスケクラブに入ってもらます」
バスケクラブ!?
私は高2で将貴は高1なので入れることは入れるけど、全然スポーツなんてできないし…。
いや、クラブって言ってた。
つまり、年齢も性別も関係なしに入れるってことか。
「バスケクラブ、人数足りてないのよ。あと1人でいいのよね。そうね…、バスケのクラブ通ってる人の中で仲良しな人とかどちらかにいない?」
仲良い子…。
私が1番に思いついたのは蓮だった。
よく一緒にいた過去のことを思い出す。
なんだかんだで幼馴染だった私と蓮は、中学に入り、お互い反抗期や思春期を迎え、少しずつ話さなくなり、距離を置くようになった。
そんな思い出に浸っていると、隣から大好きな声がした。
「…俺は、理沙がいいと思うけど?」
「え!?私??」
「ねぇ、やってくれるわよね?じゃないと、あなた達、居場所なくなるわよ」
隣の将貴をみると、目を輝かせながら私をみている。
でも、同じバスケクラブにいたら、蓮との関わりも増えるかもしれない。
…悪くない。
「…わかりました」
仕方なく受け入れることにした。
「そうとなれば、ここはあなた達の部屋よ!」
「やっとだー!」
おいっ!将貴は大はしゃぎしている。

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