おれんじの絆
それから、2時間が経ち部屋には私しかいなかった。
そんな時ドアがノックされた。
トントン。
「はい」
「…俺だけど」
ドキンとした。胸が高鳴るのがわかる。
「どうぞ、?」
蓮は無表情の中にどこか心配したような優しい顔をして入ってきた。
「久しぶりだな」
「そだね」
距離を置いたのはそっちだろ!と思いながら口をつぐむ。
「あのさ」
「ん?」
「お前、バスケ入るの嫌だった?」
そんなこと気にしてわざわざ…?
「嫌っていうか、私スポーツ苦手だから足引っ張っちゃうんじゃないかなって…」
「俺は、お前なら出来ると思って言ったんだ。迷惑だったら悪い。ごめんな」
なんかいつもと違う。
今までの蓮からは謝るなんて考えられなかった。
「いいよ、べつに。でもどうして私ができると思ったの?」
そう聞くと、蓮は顔を真っ赤にしながら
「俺が…教えてやるから」
と言った。
え、今の聞き間違い?
でもこんなに照れてるし、信じていいんだよね…?
「ありがと」
この言葉しか出てこなかった。
そして、目が合う。
緊張しすぎて大好きな彼から視線が外せなかった。
本当にその綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうで。
しばらくの沈黙をやぶったのは、私だった。
「蓮も素直に謝れるようになったんだね」
まさかこっちまで話が遡るとは思ってなかったらしく、びっくりした表情をみせて、くしゃっと笑った。
「うるせぇよばーか」
その笑顔を見た途端、その時だけ昔に戻った気がして、
私もつられて笑顔になった。
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