おれんじの絆
そしてたどり着いた体育館。
中に入ってみると、汗の香りがした。
「この臭さ、最初は臭いって思うけど慣れるといい匂いに感じて、この匂いないと生きていけないってほどになるんぜ?」
「そんなに?笑」
さすがにこの匂いないと生きれないとは想像できなかった。
でも、そんな嫌いってわけでもない。
みんなの努力と頑張りから生まれたこの香りはそんなに悪いものじゃない気がした。
そんなことを思っていると、蓮が
「こっち、女子の着替え場所だから。昨日買ったジャージ着ろよ。あと、コーチにあいさつもな。それから…」
「そんな一気に言われてもわかんないよ。大丈夫だからそんな心配しないで」
そう言って私は蓮に自然と笑顔を見せていた。
慣れていないのに私のことをお世話しているのが初々しいしくて、愛しく思えたから。
「そっか。んじゃあとでなっ」
本当に優しい。約束も守ってくるし。
それから、私は着替えて蓮に言われた通りコーチにあいさつをした。
そして、練習開始。
学校でおちゃらけてる子も、いつも明るい子も、まるで人が変わったかのように真剣だった。
空気にも緊張感を感じる。
「ほら、早く入れ」
1番早く注意されたのは私だった。
そこで、後ろから1人の男子が私の背中を叩いてきた。
「お前、入ってきて早々怒られてるじゃんかよ。お前何年生?」
「私、高2です。理沙っていいます」
「ふーん。じゃ、頑張れよ」
そう言って彼は走って行ってしまった。
なんだったんだよ。
あの人、人に名前聞いといて自分の名前言わなかった。
今度会ったら聞いてみなきゃ。

それから、パス練習やシュート練習をして今日の練習は終わった。
なんと3時間もかかっている。
それだけ集中してたってことだと思った。
そして、帰りは蓮と一緒に帰宅し順調な1日を終えた。
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