お前は誰にも渡さない


練習が終わり、ボールを洗って倉庫へ直しに行こうとした時、一人の男の人が、声をかけてきた。





「神崎志織ちゃん?」

「え・・・・ぇーと」






この人は確か、名簿で見た。
3年生の 橘 友樹 さん
サッカー部のキャプテン




身長は180くらいですごく長身。
黒髪でちょっと長め、ヘアバンドで髪をオールバックにしている




「橘・・・先輩?」

「わ、もう覚えてくれたんだ♪うれしいな」

「今日はずっと名簿見てたので、」

「ありがと♪ボールのかご重いだろ?手伝うよ」

「ぇ、そんなそんなっ大丈夫ですよ!」

「いーからいーから」

「ぁ・・・」






私より先にかごを押し橘先輩はグイグイと進んでいき、追いかけるかたちになってしまった・・






「ねえ、志織ちゃんって呼んで良い?」

「え?あっはい!大丈夫です」

「よかった♪」






先輩は柔らかく笑った。


その笑顔とその雰囲気に思わずドキッとしてしまった・・・

倉庫につきボールをしまっている時




「・・・志織ちゃんってさ」

「はい」

「拓磨と付き合ってるの?」

「・・・ええ!?」





先輩はしれっとした顔で聞いてきた。








「あ。ごめん急すぎたね?そんなうわさがあってさ?あはは」



そ・・・そんな噂があったんだ・・・




「あはは・・・そんなんじゃないですよぉ〜大事な友達です♪」

「ふぅん、、そっか。良かった。」

「え?」

「じゃぁ・・・・・俺と付き合わない?」

「えええ???」







この人は何なんだろう・・
急に告白されてしまった・・・今日会ったばっかで橘先輩のこと何も知らないし





急すぎて私は大混乱です。




「そんな・・・あの・・会ったばっかりですし・・何も知らないのに、そういうことは・・」




混乱している私に構わず先輩は近づいてくる



「・・・俺は知ってたよ?入学した時から」

「え??」

「入学式の日に、クラスの場所がわからなくて俺に聞いてきたの覚えてない?」






゛あのっすみませんっ1年生の教室ってどこですか!?゛




この言葉が頭の中によぎった。
そういえば、薫ちゃんとはぐれてウロウロしてる時に男の人に聞いたことがあった





その人が…





「あ・・・」

「思い出したかな?」

「あの時場所を教えてくれた・・」

「そ♪それ俺なんだ、」

「・・・」

「ちっさくて、可愛いなぁって思った。・・・その時一目惚れしたんだ、」




ひ、一目惚れ!?
薫ちゃんに一目惚れならわかるけど私に一目惚れって・・・・



えーっと・・どおしたらいいんだろう・・





「ごめん、困らせちゃったかな」

「ぁ、ぃぇ、そんな・・・」





気がつけば私は先輩に壁まで追いやられていた。





「あっあの・・・先輩・・」

「でも・・あの時からずっと好きだったんだ、拓磨と付き合ってるって噂聞いて言えずにいたけど、そうじゃないなら遠慮しない。」

そう言うと先輩は両手で私の肩に手を置き、顔を近づけてきた。



「俺と付き合わない・・?志織ちゃん・・・」

「せっ先輩っっ」






両手で先輩を押しのけようとするも力じゃかなわない、何度押してもビクともしなかった。



こ、このままじゃ・・・
キスされちゃう・・・誰か・・




バン!!




そう思った時倉庫の扉が乱暴な音を鳴らした。

「キャプテン、何やってんスか?」


「・・・ッチ」


同時に先輩は私からゆっくり体を離していった。






「・・・・あれ?拓磨どうしたの?♪」

「何やってんスカ?って聞いてるんですけど」





その時のたくちゃんは眉を寄せとても怖い雰囲気を放っていた。





「なにおこってるんだよ?俺は志織ちゃんに挨拶してただけだよ」

「挨拶・・・?」




顔をしかめて先輩を睨んでいた





「じゃぁね志織ちゃん、返事また聞かせてね♪」





先輩はそう言い残し、その場を去っていった。拓ちゃんとすれ違う時になにか言ってるように見えたけど気のせいかな・・・

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