短編集『秋が降る』
「あぶない!」

そう叫ぶ声が聞こえ、

「え?」

と、足を止める。


けたたましいクラクション。


いつの間にか私は車道に出ていた。

すぐ近くで聞こえるエンジンの音。

激しいブレーキ音。


ふたつのまぶしい光が私をとらえた。



その光の向こうに、私は愛する俊秀さんを見たような気がした。

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