短編集『秋が降る』
幸い、まだだれも私のことには気づいていなさそう。

「どうしよう・・・」

そうつぶやきながらも、足早にその事故現場を通り過ぎてしまった。

車のライトの下に広がるあれは・・・血?

すぐに顔をそらして道を急ぐ。

ここって、老人ホームの前だ。
住んでいる人が事故にあったのかも。

何もしないで通り過ぎちゃて良かったのかな・・・。


だんだんと罪悪感が押し寄せてくる。


でも、たくさん人はいたし・・・。
私にできることなんて少ないだろうし。

自分に言い聞かせてみても、時折振りかえってしまう。

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