短編集『秋が降る』
そのとき拓斗は、
「・・・じゃあ、付き合う?」
なんて言ってたな・・・。

はじめは、誰かと恋人になれるってだけで舞い上がっていたけれど、今思うと拓斗は困っていたのかも。

やがて、拓斗が私の名前を呼ぶ言い方が、
『夏目さん』という苗字読みから『彩花さん』に変わり、いつしか『彩花』になった。

ほんっと、徐々にだけど。

好きな気持ちが強くなる分だけ、不安になることも多い。

それでも、好きでいてくれているって思ったから時間があれば会いたかった。


そして、それが今。


拓斗にさっき見た事故のことを聞いてもらいたかった。
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